【Inter BEE 2014】NHKメディアテクノロジー 創立30周年記念技術展を開催 世界初の実写8K3Dシアター上映 4K3Dや4Kデジタルサイネージなども出展

2014.11.13 UP

200インチの8K3D映像と22.2チャンネルの音声を使った3Dファンタジー「WISH」

200インチの8K3D映像と22.2チャンネルの音声を使った3Dファンタジー「WISH」

4K3D映像による外科手術の撮影システム。順天堂大学と共同で実施した

4K3D映像による外科手術の撮影システム。順天堂大学と共同で実施した

大型の4K縦長ディスプレイに、WebブラウザでHTML5形式のコンテンツを表示させるデモ

大型の4K縦長ディスプレイに、WebブラウザでHTML5形式のコンテンツを表示させるデモ

 NHKメディアテクノロジーは、11月19日(水)から21日(金)までの3日間、千葉・幕張メッセで開催されるInter BEE 2014に出展する。Inter BEE 2014のブース(ブース番号:6405)の展示とともに、国際会議場2階のコンベンションホールAで創立30周年記念技術展を開催する。
 ブースと創立30周年記念技術展とを合わせた展示は30項目にも上る。NHKメディアテクノロジー 経営企画室 経営企画部 主幹の毛塚高栄氏は、「NHKメディアテクノロジーは、コンテンツ制作という放送の分野と、サーバーやネットワークを活用するITの分野の両面で、ソリューションを広く提供してきた。30周年という節目を迎え、次のステップに向かうための技術の集大成を展示する」と語る。
 創立30周年記念技術展で上映する実写8K3Dシアターは、世界初の試みという。また4K3Dによる外科手術撮影システム、4Kデジタルサイネージシステム、クラウドを活用した番組制作支援など実用に近いソリューションもデモを交えて紹介する。

■200インチの8K3D映像と22.2チャンネルの音声で将来の3Dの姿を提示
 特別展示と位置づけたのが、世界初の8K3Dシアターの実写映像の上映だ。会場には200インチの8Kスクリーンと、22.2チャンネルのマルチチャンネル音響システムを設置。ピエロと少女の不思議な世界を描いた4分間の3Dファンタジー「WISH」を上映する。
 「8Kの3Dというと、びっくりするような飛び出す映像を思い浮かべるかもしれないが、今回のコンテンツはナチュラルな3Dを提供する。22.2チャンネルの音響システムと併せて、自然な立体感を体験してほしい」(毛塚氏)。アストロデザイン社製の8Kカメラ2台を搭載した2眼式3D撮影方式を採用し、超高精細な映像の魅力を損なわない3D映像を創ることに挑戦した。
 最大の難関は、視聴環境が会場に設置されるシアター、その1カ所しかないこと。映像制作の過程で8K3Dの映像を直接確認することができないため、苦労を重ねた。毛塚氏は「映像は4Kにダウンコンバートして解像度やピントを確認し、3Dは2Kにダウンコンバートしてチェックした。誰も見たことがない映像にOKを出す厳しい作業の連続だった」と語る。
 8K3Dのシアターは10分毎の入れ替え制で4分間のコンテンツを上映する。1回に約50人の来場者が同時に新しい3D映像と立体音響の織りなす世界を体験できる。

■4K3D映像による外科手術映像でリアルな立体感を実用化へ
 4K3Dではより実用化に近いソリューションとして、外科手術用の撮影システムを展示する。JVCケンウッドとカールツァイスメディテックと共同で開発した「4Kカメラによる脳神経外科手術の4K3D撮影システム」がそれだ。
 これまで外科手術では、術者と助手は顕微鏡の立体像を見ながら手術を行う一方、その他のチームメンバーは視認性が低い2Kディスプレイで手術の状況をモニターすることが一般的だった。4K3Dシステムの導入により、チームメンバーも高精細で立体感のあるリアリティの高い3D映像でモニタリングが可能になる。さらに3D手術映像を記録することで、リアルで立体感のある手術映像アーカイブによる教育用コンテンツとしての広がりも期待できる。

■4KデジタルサイネージをHTML5とPCブラウザで実現
 4Kのソリューションとしては、より身近なものとして「4Kデジタルサイネージ制作・管理・送出システム」を展示する。パソコンのWebブラウザと4Kディスプレイを使って、HTML5をベースにしたコンテンツを表示させる仕組みだ。これまでの一般的なデジタルサイネージでは、専用のセットトップボックスを使い、コンテンツの制作や管理も専用のシステムが必要だった。
 毛塚氏は「HTML5とブラウザというWeb技術を使うことで、汎用のCMSと汎用のパソコンやディスプレイを用意するだけで、4Kの超高精細なデジタルサイネージが出来上がる。非常に鮮明な映像が再現でき、サイネージとしてWebサイトをそのまま表示することも可能」と効果を語る。
 展示するのは、4K縦長ディスプレイ。コンテンツとして縦長の4K動画映像も上映するが、4Kの横長映像からブローアップする方法では画質劣化が起こるため、NHKメディアテクノロジーのノウハウを生かし、8K画像から切り出した4Kフル画質の縦長映像を制作したという。
 
■クラウドのメリットを活かしたコンテンツ制作モデルの開発
 ITと放送の両分野の強みを活かしたソリューションも展示する。クラウドを活用した番組制作支援ツールの「Coll@Board」は、パブリッククラウドを活用して番組制作における物理的な障壁を取り除く。
 具体的にはパブリッククラウドとしてMicrosoft Azureを使い、取材した映像素材のプロキシデータをクラウド上に転送して保存する。クラウド上の素材をパソコンやタブレットで確認、簡易編集することで番組制作のワークフローの自由度を高める。
 「映像、音声がデータ化されクラウドで共有できる時代になった。時間や場所などの物理的な制約を超えた“協業できる社会”というモデルをできるだけ低コストで、広く提供する。クラウド上には文書などの情報共有や進ちょく管理機能なども備え、次世代の映像制作のスタイルを提案していきたい。」(毛塚氏)。

■放送技術と通信技術の融合をイベントステージで紹介
 創立30周年記念技術展のイベントステージでは、3Dと高精細映像の融合といった放送技術分野でのチャレンジに加えて、Web表現の新技術やハイブリッドキャスト開発支援ライブラリなどのIT分野の新たな試みを実演やトークショーで紹介する。
 イベントステージには8Kシステムを構築し、Inter BEE会場のNHKメディアテクノロジーブースへ8K IP伝送による生中継を実施する。Inter BEE会場のブースではこのほか、8K3Dコンテンツのメイキングや、イメージキャラクター合成写真撮影アプリなどの紹介も行う。


【NHKメディアテクノロジー】
本社住所:〒150-0047 東京都渋谷区神山町4-14
URL:http://www.nhk-mt.co.jp/
映像・放送関連機材部門 /ホール6 /6405

200インチの8K3D映像と22.2チャンネルの音声を使った3Dファンタジー「WISH」

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#interbee2019

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