InterBEE REVIEW2016
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102 INTER BEE IGNITIONの特別イベント「INTER BEE IGNITION NIGHT」が、ホール4のINTER BEE IGNITIONの会場で開催された。会場はすでに展示時間を終了している中で、INTER BEE IGNITIONのエリアのみ照明を用いて開催。会場には200人を超える来場者が集まった。プレゼンターとして、スカパー JSAT 経営管理部門経営戦略本部新規事業推進部 マネージャー 橋本 英樹氏と、通称「ハブチン」こと羽淵 彰博氏が登壇して進行した。ハブチンは、パソナキャリアで、企画担当者向けプログラミング教育事業「ハッカー部!」をローンチ。官民によるハッカソンの司会者として知られる。■いかに臨場感を楽しめるかが鍵 イベントの始めに、橋本氏から催しの狙いについて以下のように説明があった。 「今回の催しは、ライブエンターテインメントの新しいリアルを追求するということをテーマにした企画。ライブエンターテインメント市場は2000年から成長し続けており、音楽ライブ、芸能、舞台などをくるめて、5200億円市場にまで成長し、今でも拡大している。そうした中で、ライブのキャパシティは限界に来ており、このままでは市場の成長余地は限られている。ライブビューイング、パブリックビューイングで同時中継することで、ビジネスの広がりが期待できる。ライブの会場に来れない人が、いかに臨場感を感じ、楽しむことができるかが、大きな鍵となる。そのためには、ネット配信の技術や、4K8Kの高精細映像の最新技術を取り入れるとともに、作り手の創意工夫も必要。今回の試みは、4K8Kの映像やさまざまな技術や演出を用いて、いかにライブステージをリアルに感じてもらうかを検証するためのもの。3つの仮説をもとに、実際のパフォーマンスを通じて実感し、会場からも意見を聞かせていただきたい」■ネットがもたらす新しいリアリティ 続いて、ハブチンは次のようにコメントした。 「ネットの世界は今、リアリティの感覚に変化が起きつつある。一つは、ライブ×テクノロジーというキーワードが挙げられる。パフュームやリオ・オリンピックの閉会式など、VRなどの最新技術が新しいリアリティ、体験をつくりだしている。それは、"現実感"というより、"リアルな幻想"という印象で、過去や現在、未来、実写やCGが入り交じった空間でありながら、それをリアルな体験として感じられる。もう一つのキーワードは、ライブ×コミュニケーション。SNSで自分の近況をアップし、それに"いいね"などのリアクションをもらう。そのリアクションそれ自体が"体験"の証と感じられ、リアルを感じるというもの。ライブビューイングにおいても、新しいリアリティを感じる演出の可能性があるはず。まずは今回初の試みとして、4Kのライブ映像をもちいたパフォーマンスで検証をしてみたい」■映像と実写のシンクロ 会場では、ホール7のステージで実施している、人気アイドルグループSTARMARIEのパフォーマンスを4Kライブ映像配信し、3つの仮説に沿って演出を加えながら検証を進めた。会場には、STARMARIEのファンも参加し、ホール7にいるSTAMARIEのメンバーとの双方向のコミュニケーションや、5人のメンバーのうち、2人が実際にホール4のINTER BEE IGNITIONの会場に来てパフォーマンスを実施するなど、盛り上がりを見せた。 プロジェクターに映し出されたメンバーは、ほぼ原寸大に近い大きさで映し出されていたため、プロジェクターの前でパフォーマンスをする2人のメンバーと同じスケール感のため、会場では、上部に掲げられたスクリーンのメンバーとステージで実際に踊る2人を重ねて見るように姿勢を変えて見る人が多かった。 会場からの意見として、「映画館でのライブビューイングもあるが、あれでは遠くでやっているイメージが否めない。4Kプロジェクターで見たライブは、肌で感じられるリアル感があった」という意見があった。 橋本氏は、前述のようにパフォーマンス中に姿勢を変えて見る人が多かったことを指摘し、「新しいリアルの可能性を感じてもらえたのではないかと思う。この先には、4K8K、ホログラムなどを使いながら、舞台演出、ステージが複数の拠点で成立するようなライブもあるのではないかと考えている。ぜひ、今回の検証を今後につなげていきたい」としめくくった。11月17日(木) 17:45-19:00「INTER BEE IGNITION NIGHT 2016」

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