InterBEE REVIEW2016
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35 森永技師長は冒頭、4K・8Kスーパーハイビジョン試験放送を8月1日にスタートし、2年後の2018年には、いよいよ本放送が始まるとし、「4K・8Kスーパーハイビジョンの普及には、ソフトとハードと共に歩調を合わせ、取り組みを着実に進めていく必要がある。NHKは、視聴者の方々に4K・8Kの魅力が、最大限に伝わるコンテンツの制作、取り組みを強化していく」と意気込みを語った。 また、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックにおける東京大阪6か所のパブリックビューイング会場、全国のNHK放送局での受信公開では、20万人超が体感したという。森永氏は「こうしたオリンピックでのトライアルが、2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功に繋がる、大きな一歩になる」と述べた。 動画配信など、放送を取り巻く環境の変化の中で、NHKもその変化に対応することが、求められるようになっている中で、今後の課題として、「視聴者の方々に情報を一斉に送る放送と、スマホやタブレット等を利用した個人向けのインターネットのサービスを、どのように連動させてサービスを開発するべきか。それこそが、今後の放送のサービスの発展のカギとなる」と述べた。 乾杯の挨拶に登壇した川口技術対策小委員長は、民放連が毎年併催している「民放技術報告会」に言及し次のように話した。「本日から3日間、民放各社の最新の取り組みを紹介する催しとして、幕張メッセの国際会議場3Fで開催する。今年は例年を大きく上回る111件、さらに明日17日には、CGなど、番組表現の先端画像技術のパネルディスカッションを開催する予定」 続いて「今年のリオのオリンピック・パラリンピックも無事に終わった。続く、東京でのオリンピックに向け、BS4K・8Kの実用放送の開始、インターネットを利用したコンテンツの配信など、新しい技術が一気に進む予感がしている」と述べ、2020年へ向けて技術が進展することへの期待を表明した。最後に「放送事業者も放送機器・家電メーカーの皆さんも、この場にお集まりの関連業界の皆さんと力をあわせて、放送の発展に力を尽くしてまいりたい。Inter BEE 2016の成功と、JEITA、関係業界の発展、さらに皆様の益々のご活躍とご健康を祈念する」と述べ、乾杯の発声をした。「2020年に世界最高水準の放送サービスを実現」 Inter BEE 2016 出展者数が1000を超えたことを高く評価し「放送は、大変裾野の広い分野であると考えられる。日本の放送振興に留まらず、経済振興、経済発展に大変役立つ」と強調した。 松井氏はまた、展示会場を視察したことを振り返り「4K・8K、HDR、IPなどがあったが、数年前に大きなブームとなった3D立体視が見られなかった。高精細で奥行き感のある映像を簡単に視聴できる4K・8Kの出現が3D立体視を下火にしたのでは。こっちかこっち、ではなく、両方を足してさらに相乗効果を出すようなことも検討していかなければならないのでは」と述べた。また、動画配信が注目されていることについて「放送波、電波で視聴するのか、ネットでの放送を選ぶか、ということではないのでは」と問いかけ、「3Dも2D視聴もできる環境を提供することで別の道があったのではないか。どちらか一方が生き残るということではなく、ネットと電波と地上波、それぞれが上手く融合しながら、更に、相乗効果を出すことで互いに発展できる可能性がある。日本の先進技術がそうした相乗効果を生み出していくことを期待している」と述べた。「動画配信と放送の相乗効果を生み出す技術に期待」「4K・8K、ネット配信など新たな技術が一気に進む予感」一般社団法人日本民間放送連盟 技術対策小委員長 川口 忠久 氏日本放送協会 専務理事・技師長 森永 公紀 氏一般社団法人電波産業会 専務理事松井 房樹 氏

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