InterBEE REVIEW2016
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21―米国でも、日本でも注目を集めているVRの現状をどう見ているか。チャビン氏 「VRは今までのプラットフォームの中で一番大きい可能性を持っている。映画やエンターテイメント分野だけでなく、臨場感豊かな表現力を活かせば、教育や産業分野のトレーニングなどにも大きな効果が見込める。3Dのように映画館だけの問題ではなく、インテルやグーグル、HP(ヒューレット・パッカード)など映画業界以外の企業ともコンタクトがあり、産業のすそ野の広がりも期待できる」 「これは世界的な流れになっていくだろう。アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国でも様々な産業の企業がVRを活用していくようになると見ている。3Dの時の盛り上がりとはレベルが全然違う。ガイ・プリムス氏がCEOを務めるThe Virtual Reality Companyのように、VRで人を喜ばせたり楽しませたりすることを真剣に考える企業がどんどんこの業界に入ってきて、VRに対して新たなチャレンジを仕掛けていくことが大切だ」庭での視聴は広く普及しているとはいえない状況だ」 「VRを普及させるためには、3D立体視と同じような道をたどらないよう、3D立体視の分析をした上で、業界全体としてするべきことを考える必要がある。何でもVRコンテンツにすればいいというわけではなく、作品がVRに適しているかなど、しっかり考えていく必要があるだろう」―VR市場が発展していくためには何が重要になるか。プリムス氏 「本当に魅力的なVRコンテンツを生み出すのは、そう簡単なことではない。VRの特性や最適な演出技法などについての調査・研究をした上で使っていくことが大切だ」チャビン氏 「VRソフトを楽しめるプレイステーションなどのゲーム機器が広く普及してきている。2017年はVRが大きくブレークする『VR元年』といえる年になるだろう。VRは持続性があり、ビジネスの有力な土台になる。多くの企業の積極的な投資を働きかけていきたい」河合氏 「ユーザー視点でVRを捉えた場合、取り組むべき様々な課題がすでに見え始めている、VRの基本的な認知的特性の理解はその1つ。私の専門である人間工学の見地から、VRが人の行動にどのような影響を及ぼすのか。ポジティブな部分、ネガティブな部分含めて考えていきたい」 「例えば、ポジティブな部分で言うと、VRはユーザーにどういう価値を与えるのか、社会にどういう価値を与えるのか。これを明確化していくことが大切だと思う。コンテンツをきちんと整理・分析して、クリエイターの持っている暗黙知もツール化し、より品質の高いコンテンツが作れるような環境づくりに貢献していきたい」VRを使いこなすには調査・研究が不可欠―VRは一過性のものではなく、新たなコンテンツ形態として定着するだろうか。プリムス氏 「VRは新しい映像表現を可能にする画期的な技術だが、技術だけで魅力的なコンテンツが生まれるわけではない。新たなコンテンツ形態として定着させるために最も大切なことは作品のストーリーである。優秀なストーリーテラーの存在が不可欠だ」 「メジャーな映画会社には実績もある優れたストーリーテラーがいる。当社にもジェームズ・キャメロン監督の映画『アバター』の制作に関わったロバート・ストロンバーグがヘッドの一人として在籍している。業界のビッグネームとして心強い。業界全体からも非常に期待されている」河合氏 「VRを語るとき、3D立体視のことを考えないわけにはいかない。3D立体視は、映画館では観られているが、家VRはあらゆる産業に波及していくコンテンツの命はストーリー

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