InterBEE REVIEW2011 (JP)
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08 スミス氏は言う。「NABは米国のみならず世界の放送業界の利益のために活動している団体だ。私は個人的にも日本の文化や歴史を深く尊敬しているが、NAB会長として、日本が維持している世界最高の放送技術に大きな期待をしている」 「現在、世界において長期的な視野で放送技術を研究・開発している組織は日本にしか存在しない。HDやデジタル放送の先鞭をつけたのも日本であったが、未来の放送を形作る役割を担うのは、日本の研究開発技術に負うところが大きい」 スミス氏の言葉から、日本の放送技術が高く評価されていることとともに、NABがすでに次世代の放送を視野に入れていることがわかる。 今回の来日の直前、NABの技術担当トップを務めるリン・クラウディ上席副会長が中国・上海を訪問した。11月10、11日に上海で開催されたFOBTV(Future of Broadcast Television Summit2011)に参加するためだ。FOBTVでは、NABのほか、米国のデジタル放送技術標準化団体のATSC、IEEE、日本からはNHK放送技術研究所も参加している。さらには、英国BBC、欧州の放送団体EBU、そしてブラジルの放送団体SETも参加し、次世代の放送の標準化についての討議が行われた。世界の放送業界では、次の放送が話題に上っている。 「今、中国は世界中からの放送技術を集めようとしている。会議終了の共同宣言では将来的な放送システムの要件定義でイニシアティブを取って行くことが宣言された。NABとしては、米国のみならず、広く世界の放送事業社や視聴者、メーカのそれぞれの利益を考え、特に日本の優秀な技術とともに将来の放送ビジネスを進めて行きたいと考えている」(スミス氏) その協力関係の一つの方向性としてスミス氏は、NABが推進するFASTRORDを用いた連携を上げる。「FASTRORDは、NABが実際の研究期間を作ることではなく、ある種の投資の仕組みだ。米国には今、放送技術を専門に研究する機関がない。NABでは、放送に関わる基礎研究を外部へ委託している。この研究資金を提供するしくみをFASTRORDと呼んでいる。日本のNHK放送技術研究所や情報通信研究機構との連携もFASTRORDの対象と「日本の放送技術は世界最高。放送業界にとって重要な存在」「日本の優れた技術を次世代放送の世界標準へ」

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