InterBEE REVIEW2011 (JP)
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 結城氏は『坂の上の雲』において、VFX プロデューサー、ラインプロデューサーとして、VFX 制作のコーディネーションや撮影ロケのコーディネーションなど映像制作の仕事の流れを作り出す役割を担ってきた。また、菱川氏は、番組を象徴する映像ともいえる印象的なタイトルバックの制作を通じて、加藤氏が手掛ける映像制作のイメージづくりをサポートしてきた。ともに、加藤氏の映像制作を支える重要な存在だ。 結城氏は、制作時の自らの仕事を振り返り、「『坂の上の雲』では、勝負をかけていた」と言う。「ロケ地の選定など、ドラマの内容に関わる重要な部分の選定についても、積極的に提案をしてきた。ラトビアやマルタのタンクスタジオなどを、ロシアのシーン・旅順閉塞作戦のシーンそして日本海海戦のロケ地として撮影を提案したこともある」 「実際の撮影準備の予算・スケジュール作成から最終的なポストプロダクションの完成まで横断的に関わることができ、実際の撮影とVFXを差配していくプロデュースをできたことはとてもいい経験となった。」それだけに、さまざまなプレッシャーもあったはず。結城氏は、「こういうことができたのも、加藤氏ほか制作のみなさんが私を信じて守ってくれたおかげ」と話す。 加藤氏は、「結城さんは、周りの人が最初は不安を感じるような新規性のある提案でも、それを失敗させないだけのネゴシエーション力や、いっしょに行動してぜったいに失敗させないという技術を持っていた。感性だけの勝負とは違う、技術の裏付けがあるから信用を勝ち取ることができた」と高く評価する。 結城氏とともに、外部の立場としてドラマのイメージ構築に大きく関わったのが、菱川氏だ。 菱川氏は、数多くのCM制作、タイトル制作で今、最も注目されるクリエイターの一人。NHK のドラマ「功名が辻」では、絢爛豪華な日本の伝統芸術をふんだんに用いた映像をワンカットで展開した圧巻のオープニングを作り上げ高い技術力を持ったプロ同士の信頼関係19

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