InterBEE REVIEW2011 (JP)
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入れてたったの6人。役者が2人、カメラマン担当が2人、プロデューサーが2人。そのほかの脇役は、すべて現地でエキストラを調達したという。中南米を機材やスタッフを乗せたバンに乗り、ロードムービーさながらに移動をしながらの撮影だった。俳優の撮影中の背景もそのまま、日常の通行人や町の風景などを取り入れた。こうした大胆な撮影手法も、「異常な事態が起きていても、それは当事者以外は日常生活の中にいる。それがよりリアリティを作り出してくれた」とねらいがあってのことのようだ。しかし、なによりもCG合成を必要とする撮影がすんなりと実施できたのは、VFXの経験を持った監督ならではといえるだろう。通常はポストプロにとてつもない苦労を強いるか、あるいは現場でのVFX担当者とカメラクルーとの緻密な打ち合わせが必要になる。 「僕も含めて、撮影スタッフがCG合成のことを知っていたことから、撮影時点で合成を想定した画角を構成することができた。そのため、制作効率も良く、無駄な撮影もせずに進めることができた。通常、撮影後に渡されたデータを見て、VFXクリエイターは頭を抱えるのだが、我々はまるで的を描く前に矢を放ち、そのあと的を描くような手順で進めることができた」 こうした経験を経て、いよいよハリウッド映画を手掛けることになる。SF映画が好きで監督を目指しただけに、エドワーズ氏も「ゴジラ」のことを敬愛しているという。しかし、映画の作り手としては次のように話す。「日本が生んだ『ゴジラ』だけに、日本にも多くのファンがおり、厳しい目があるということも感じている。だが、日本が作り出した世界的なキャラクターであることには敬意を表しながらも、これまでのイメージにしばられずに、僕なりの「ゴジラ映画」をつくっていきたい」 これまで、低予算でクリエイティブな映画を作ることで注目されてきたエドワーズ氏。ハリウッド映画であるからには、これまでと規模も予算も違うことになるのか、それとも低予算のハリウッド映画をつくることになるのかを聞くと、次のように答えてくれた。 「僕自身、映画監督として、低予算の映画を作ることが目的なわけではない。これまではデジタル技術を取り入れることで、低予算な態勢をつくることができ、それがより自由度の高い環境でクリエイティブな映画を作るという目的にかなっていた。今回も、デジタル技術を駆使して自分が目指すスタイリッシュな映画をつくることに集中して制作に取り組むつもりだ。映画の制作体制は、それぞれの作品ごとに最適なスタイルが求められて良いのではないかと思う。常に新しい技術や表現を取り入れて、それをスムーズに映像制作に反映できる環境を作り出すことが重要だ。やるからには、中身のおもしろさで勝負したいと思う。完成したら日本のゴジラファンにもぜひ見て喜んでもらえるものを作りたい」最適な制作スタイルは映画ごとにあるはず15

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